今年も花粉症の方にはとても厳しい季節がやってきます。
私が学生の頃は花粉症という言葉さえ聞いたことがありませんでした。
花粉症の原因とされる杉の木は先代から続く木材業を営む私にとっては
とても身近な存在ですし、栃木県には400年以上の時を刻んだ日光の杉並木があります。
そんな環境でありながら、私の知っている限りでは花粉症などは聞いたことがありませんでした。
そう考えると、花粉症は人間が社会活動によって自らが作り出した現代病のような気がします。
花粉症に限らず、アレルギ-やアトピ-なども化学物質が原因の病気といわれていますが
人が自然を大切にして、自然と共に暮らしていた時代はそんな病気は無かったのです。
便利さだけを追及した生活をしてきたために引き起こされた病気だ思います。
車の排気ガスもそうですが、住宅で言えば、手間のかかる無垢材が敬遠され、手軽に使える合板や新建材が登場し、
それまで、建具職人が無垢材を使い手作りで仕上げていた扉などはプリントを接着剤で張ったメ-カ-品のユニットドアに切り替わり、また内外装材も無垢板張りや漆喰から接着剤を使ったビニ-ルクロスになってしまいました。
つまり、現在は病気の原因となる化学物質を空気中にまき散らす材料を便利さを優先して使った家が主流になってしまい、それによって引き起こされる室内空気の汚染を除去するために、換気システムが必要になり、
また、合板やビニ-ルクロスやグラスウ-ルは透湿性がないため、結露防止に防湿フィルムを使用したりといったような対処療法的なことをしているのが現代の家づくりです。
一般的には高気密、高断熱住宅が省エネ住宅と言われていますが、
私は本当の省エネ住宅とは機械換気をしなくては住めないような家でなく、
断熱や透湿性能が優れていて、自然還る自然素材や無垢材だけを使って自然に負荷を掛けず、
人が元来持っている自然治癒力を高めて元気になる家だと考えています。