薪スト-ブの暖かさが広がるリビング。引っ越しを翌日に控えたN様邸で夫婦が火を熾して待っててくれたのだ。真新しい桜材の床に座ると、
ぬくもりがじんわりと伝わってきた。無垢の木をたっぷり使う家づくりは奥様の要望。5寸角の柱と8寸角の大黒柱は檜。壁は漆喰だが腰板は杉。
天井も杉板で、その下には黒芯(芯部が赤身でなく黒褐色)の立派な桁が渡っている。引戸やキッチン食器棚もすべて杉無垢オリジナルだ。
理由を聞くと「何となくほっとするのですんね」教師をしていた奥様、退職後は木の家に住みたいとずっと考えていたそうだ。
いよいよ建て替える段になり、複数の工務店の中から選んだのが栃木市のネクストンだ。木の美しさ、国産材や県産材へのこだわり、
そして耐震面でも安心できるしっかりした木組みにも惹かれたという。同社は製材業をル-ツに持つ工務店、
現在は山林経営から製材までを一貫して行うグル-プと提携しており、良材が手に入る。この長所を活用しシンプルで木の魅力が生き、
年月を重ねて味わいの出る家づくりが同社のモ-ト-だ。N様邸では檜と杉は県産材、
そのほか樹種もすべて国産材で、上がり框は同社社長も伐採につきあったケヤキ材を、和室の床柱にはご主人の要望で縁起の良いイチイを配した。
プレ-ンに見えるしつらえも、組子欄間や猫間障子を使うなど細部に凝っている。
また、奥様は薪スト-ブ、ご主人は囲炉裏土間をリクエストしたが、両方が実現した。
木に囲まれた暮らしが待ちどうしいと話す奥さん。ご主人は檜の壁の浴室も楽しみにしているそうだ。
風土社「チルチンびと」より抜粋